エピローグ

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「……」 「図星か」 フーガは何も言い返せず黙り込んだ。この少年は初めから、それに勘づいていたのだろう。ミズキはフーガの甘さに気づいていたのだ。 「フーガ・ベルナール、よく聞け。おまえが強さを求めたいと思っているのなら、甘さは捨てろ。いつか取り返しがつかないことになる前にな」 「………く、甘いことがそんなに悪いのかよ」 「甘さは己の弱さだ。ないほうがいい」 ミズキは背を向けて歩き出す。そして、歩みを進めながら口を開けた。 「ああ、思い出したが、リント校長がおもしろいことを言っていたな。今日、この学園に新任の教師がくるそうだ。名前は確か、ルシャン・リンクスと言っていたか」 「師匠が……!?」 目を瞬いたフーガは瞠目する。 心情は複雑だった。嬉しい気持ちもあるはずなのに、どんな顔をしてルシャンに会ったらいいのか分からない。
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