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草原の草が炎に焼かれて黒くなった。
男は少年がおいたリュックから、何かを取り出した。手に持っているのは、丸くてつやがある赤い林檎だ。
それを満面の笑みでかじる。
「がんばってください。気を抜くと、豚の丸焼きにされますよ」
と言って、また林檎をかじった。おいしいと呟いて。
「俺は豚じゃない。って、おまえの弟子が懸命に闘ってるのに、林檎を食ってんじゃねえ!」
男を顧みた少年が激怒する。だが、シェバルのことを思い出したのか空をにらむ。
翼をはためかすシェバルが地上に降りると、今度は火の球を口から吐く。
少年は右手を挙げる。
「我、呼ぶものは水の渦」
突如空間に水の渦が現れて、火の球を包み込み消した。
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