プロローグ

8/12

1829人が本棚に入れています
本棚に追加
/464ページ
草原の草が炎に焼かれて黒くなった。 男は少年がおいたリュックから、何かを取り出した。手に持っているのは、丸くてつやがある赤い林檎だ。 それを満面の笑みでかじる。 「がんばってください。気を抜くと、豚の丸焼きにされますよ」 と言って、また林檎をかじった。おいしいと呟いて。 「俺は豚じゃない。って、おまえの弟子が懸命に闘ってるのに、林檎を食ってんじゃねえ!」 男を顧みた少年が激怒する。だが、シェバルのことを思い出したのか空をにらむ。 翼をはためかすシェバルが地上に降りると、今度は火の球を口から吐く。 少年は右手を挙げる。 「我、呼ぶものは水の渦」 突如空間に水の渦が現れて、火の球を包み込み消した。
/464ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1829人が本棚に入れています
本棚に追加