黄色い薔薇

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  「満月の晩に…  僕の純血で…  君の汚れた血を  浄化させてあげよう。」 ―――ボォーォン…ボォーォン… 古びた掛け時計が鳴り響く。 あれから数時間経過し、聖書を読んでいた青年は、既に時刻が午後11時を回っていることに気がづいた。 完全に外は闇に染め上げられて、存在感むき出しな満月が、鮮明に浮かび上がっている。 「本当の愛を教えてあげよう。」 生前、裕福だった少年は皆から愛されていた。 しかし…本当に少年を愛していたのは、家族ではなく、恋人でもなく、友人でもない。 ここにいる彼一人だけだったのかもしれない。 ただ何回か… 街でスレ違っただけの関係。
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