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「で、今度は何をやらかしたんだ?」
「純血の見習いたちにからかわれたようで…ケンカに」
「何度目だ?」
「え~と……」
すでに数えるのが難しいぐらいの数になっていて、カルンはうつ向いた。
「弟子の不始末の責を問われるのは、師匠の務めとは言え、さすがに目に余るな」
マロウが軽く眉間にシワを寄せる。
「私がもっとしっかりすれば良いのでしょうが、ディクトの血の気の多さには困り果てています」
「一応、お前の言うことには素直なんだがな」
「はい、注意も聞いてはくれるのですが、どうも反りの合わない見習いがいるようで…」
「ああ~、フセク様の息子殿だろう?」
お茶を一口含んで、マロウが言う。
「ご存知でしたか」
「純血の賢者の家系であることを振りかざして、普通の民であるディクトを差別しているようだからな」
「ディクトも気に入らないようで、売られたケンカは全て買ってしまう」
「しかしなぁ、フセク様は賢者の次位でいらっしゃるから、我々がどうこう言えんしなぁ」
腕組みをした手で、顎を掻きながらマロウは視線を上向ける。
「こんなことで、代わられたばかりで忙しい長の手を煩わせるわけにもいきませんし」
「まぁな。ディクトはあとどれぐらいで一人立ち出来そうなんだ?」
視線だけをカルンに向けて訊く。
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