光の賢者

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「う、ん…」 目覚めて最初に感じたのは、不快な倦怠感だった。 寝入った記憶が無い…ぼんやり記憶を遡る。マロウと酒を酌み交わしていたところまでは覚えていたが、それ以降の記憶が全く無かった。 薄暗い部屋を見回すと自室では無く、家具や装飾でマロウの部屋だと判る。 正体を無くすほど、酒を飲んだつもりは無い。何故、こんなことになっているのかと焦り、マロウに迷惑をかけていると思ったカルンは起き上がろうとして……起き上がれなかった。 「!」 四肢が細い紐で、それぞれ寝台の支柱に繋がれている。腕に巻き付いた紐に刻まれた紋様で魔法使いを拘束する時に使うものだと判る。この紐には、魔法力を封じる術文が刻まれているのだ。 「くっ…」 力任せに引っ張ってみるが、カルンの腕力で千切れるような代物ではない。細いが丈夫なのだ。 「目が覚めたか…」 傍らからマロウの低い声がした。 「あ、あの、これはどういうことでしょうか?」 「わからないか?」 「拘束を受ける覚えはありません」 カルンは素直に言った。 実際、この紐で拘束されるのは、罪を犯した魔法使いと決まっている。当然、身に覚えが無い。
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