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「――で、他に部員もいないから俺に入ってくれってか?」
優月の電撃脅しも収まり、コーヒーを飲みながら訊ねる奏多。 もちろん、コーヒーは探偵部のコーヒーセットを使って淹れたものだ。
「それももちろんあるけど、それだけじゃないわ」
「? 他に何があんの?」
「特異体質の人をずっと探してたの。 探偵部って面倒な依頼も来るから、能力のある人が欲しいの」
「特異体質……ねぇ」
何故か、奏多は怪訝な表情をし、コーヒーに口をつける。 ミルクは淹れたが、多少残るコーヒーの苦味が口に染み渡る。
特異体質とは――、
父親と母親の遺伝情報が特定の組み合わせによって交わり、異能の能力を発現してしまう体質のこと。
それによって発現する能力は各人ごとに異なっており、様々な能力が確認されている。
しかし、それ故に能力を使って犯罪に手を染める者も多い。
これまでに数々の特異体質者が確認されたが、何故そのような人間が現れるのかは未だ解明されていない。
「――っていうのは知ってるわよね?」
「まあ、一応……」
懇切丁寧な優月の説明タイムが終わり、表情の堅い奏多は平静を装ってコーヒーを飲む。
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