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「この街にも異能者はいる。 異能者の起こす事件に、普通の人じゃ対抗出来ない。 だから、探偵部がソレを解決する――!」
優月の真っ直ぐな視線が、奏多の頼りない視線と絡んだ。 交わった。
「その為に、神崎君に入ってほしいんだけど……どうかしら?」
どうもこうも……。 なんだか話が大きくなっていってないですか、桜坂さん? 俺の異能は大した能力じゃないんだけど……。
「もちろん、異能者の事件だけってことは無いわ。 人捜しとか人間調査とか普通の依頼も来るし――」
「ごめん」
説明途中の優月の声を奏多の声が遮った。 優月の眼には頭を下げた奏多が映っている。
「ごめん、悪いけど入る気は無いよ。 俺は異能者であることが嫌だし、この能力を使いたいと思わない」
何を思っているのか、奏多は自身の右手を見つめている。 自身に秘められた“異能の力”の存在に、嫌悪感を抱いているのか、それとも……。
その様子を寂しそうに見ていた優月は、「そっかぁ……」と呟き、また輝くような笑顔を見せた。
「無理強いはしたくないからね。 ありがとう、こんな話に付き合わせてごめんね?」
両の手を合わせて謝る仕草をした。
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