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「――死刑だから。 バーンッ」
可愛い顔で撃たれた。 というか、撃ち抜かれた。
グアッ……! やられた……! あんな可愛すぎる仕草は、彼女のいない思春期の男子にはちょっとキツいぜ……!!
再びドアが閉まり、撃ち抜かれた胸を押さえて、イスに座り、ふぅと息を吐いた。
「やれやれ……心配、いらない、かな……?」
異能者ってのは言わないでやろう。 死刑は嫌だし。
もう湯気も立たないほどにぬるくなったコーヒーを、最後の一滴まで飲んだ。 さっきよりもずっと苦い。
「――……あ、チャイム鳴った……」
鳴ったのは、始業のチャイム。 遅刻だ。
‡
その日の放課後――。
奏多の脚は探偵部の部室へと向かっていた。
ま、やっぱり気になるし、話し相手くらいにはなってもいいだろ。
探偵部の部室に到着した。 朝は気づかなかったが、ドアに貼り紙がある。
どんな依頼もハードボイルドに解決!
ハードボイルドの部分だけ赤で書かれて強調されている。 優月が書いたのか、なかなか上手な字だ。
「……ノックした方がいいのか?」
ドアを軽く二、三回ノックすると、「どうぞー」と声がドア越しに聴こえる。
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