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そんなことを威張って言われてもな……。
奏多はおもむろに本の表紙を眺めてみた。
パイプ煙草をくわえたホームズのシルエットが描かれており、割と見慣れたホームズのイメージ画だ。
「ホームズは優れた探偵であり、化学者でもあったの。 しかも、フェンシング、ヴァイオリンの名手。 スゴいでしょ?」
「ふーん」
「何、その炭酸の抜けたサイダーみたいな返事は」
「ギャアアアアッ!! す、スイマセン! 炭酸の抜けたサイダーみたいな返事してスイマセン!! だから電撃は止めてください!」
奏多は人生初の電気治療を16の夏に体験した。 背筋が少しばかり真っ直ぐピシッとなった気がする。
「あ~痛かった……。 ったく……、俺を変な快感に目覚めさせるつもりですかぁ? まだ痺れてる気がする……」
「ちゃんと手加減はしてるわよ。 変な快感に目覚めるギリギリのところで」
「オイッ!!」
二人が漫才のようなやり取りをする中、その人物はやって来た。 探偵部の部室のドアをコンコン、と丁寧にノックし、ゆっくりとドアを開く。
「あの……失礼します」
恐る恐る入ってきた訪問者を見た奏多と優月は動きを止め、その少女を見つめた。
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