平凡少年と電撃少女

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  「もう一週間も帰ってきてないんですよ!! 携帯に掛けても出ないし、そんなことありません!!」  声を張り上げ、奏多の言うことを否定する遥菜。 その小さな体のどこからそんな声が出るのか、と思わせるほどの声だった。  当然、奏多は圧倒され、優月すら驚きを隠せなかった。 「あ……す、すいません。 大きな声出して……」 「いや、こっちこそ……いいかげんなこと言ってゴメン」  申し訳なさそうに謝る遥菜の姿からは、先ほどの言葉が本音だというのが感じ取られ、同時に、兄を本当に心配しているというのがわかった。  依頼する人間は真剣に悩んで来ているのだ。 「帰ってきてないって言ってたけど、お兄さんと一緒に暮らしてるの?」 「はい。 学園の学生寮で住んでも良かったんですけど、兄は私がいないとダメですから」  “私がいないとダメですから”と言った時の遥菜は、照れたように笑っていた。 頬が少しばかり朱に染まる。  その様子から、どれだけ兄のことを想っているのか理解するのは容易かった。  ともなれば、優月の次の言葉は決まっていた。 「――わかった。 あなたの依頼、引き受けました」  パァッと遥菜の顔が輝き、優月の瞳はギラギラと燃え、奏多はなんだかイヤな予感がした。  
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