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「えと……」
「あなた、1組の神崎君よね?」
「なんで、俺の名前……!」
少女は驚く奏多に微笑んでみせた。 愛らしい優しげな笑顔だ。
「私は2組の桜坂優月。 優しい月と書いて優月。 良い名前でしょ? 気に入ってるの」
「桜坂優月……って、確か……」
テストの学年順位毎回一位の超優等生ーっ!? な、なな、なんでそんな人が俺の名前知ってるんですか?! 自慢じゃないけど、テストの順位は超平凡なんですが!?
奏多が普段使わない頭脳をフル回転させて、学園の陰謀かと想像していると、優月は奏多の顔を覗き込んだ。
女の子の顔が数cm先にある。 なんだか胸の奥が熱い。
「へぇ、私のこと知ってるんだ。 じゃあ……――」
優月は奏多から少し離れ、右手をゆっくりと夕暮れの空に伸ばした。 まるで空を掴もうとしているように。
「――コレのことは知ってる?」
瞬間、優月の手からパチパチと電気がほとばしった。 綺麗に輝く電気だ。
「な……!!」
開いた口が塞がらないとはよく言ったものだ。 奏多の口は塞がらなかった。
その様子を、電気をほとばしらせながら優月は不思議そうに眺めていた。
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