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上野駅はやはり混んでいたが、上野公園周辺は平日のせいか、かなり空いていた。
チケットを買い、園内に入る。
「空いてるね」
俺の顔を見て夏美は言う。
俺の腕に夏美の腕が絡んでいる。
一時間くらいで半分くらいの動物を見学した。
「どうする?」
現在の時刻は16時半。
動物園の閉園時間は17時なので、そろそろ出なくてはいけない。
「じゃあとりあえず駅に戻って電車に乗るか。その後は池袋にでも行く?乗り換えにも好都合でしょ」
「そうだね」
夏美は微笑みながら答えた。
二人は電車に乗り、池袋へ向かった。
ラッシュ時の手前で、電車内の席は埋まっていたので、扉の横のスペースに二人は立つ。
「最近退屈なんだよねー。なんかバイト始めようかな」
夏美がiphoneを弄るのを止め、俺の顔を見る。
「バイトねぇ。でも夏美はそんな金に困ってないでしょ?俺は金に困ってるからバイトをしている」
「うーん。でも楽しそうじゃん」
「楽しくはないよー。俺は辛いね。でも同じバイトの人と知り合いになれるね」
「まぁそうだよね。じゃあ始めよっかな。コンビニのバイトでも」
「コンビニ?」
「うん。私、子供のときからレジを打つのが夢だったの」
夏美の可愛い夢に俺は思わず笑う。
「レジなんて何にも面白くないよ。最初はまぁちょっと面白かったけど、段々つまらなくなってくるよ」
「そういうものなのか。でもやっぱ始めよう」
「頑張ってね」
俺がそう言うと、夏美は再びiphoneに視線を移した。
俺は携帯で何かニュースがないか弄っていたが、いつの間にか、次の停車駅が池袋だった。
「着いたよ」
俺が言うと、夏美は顔を上げて、降りる準備をする。
かなりの人達が池袋駅で下車した。階段が混雑していて、改札を出るのに時間を要した。
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