第1章 闇に隠れた死

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上野動物園と違って、池袋駅周辺は、平日関係なく混んでいる。 老若男女、いろいろな人達が彷徨っている。 「ちょっと雑誌見たいんだけど」 夏美の要望に応え、LIBROへ向かう。 そこで夏美は若い女性向けの雑誌を二冊買った。 俺もスポーツ誌を買った。 その後、道外れにあった洒落たレストランで食事を摂ることにする。 「今日なんか短い時間だったけど、凄く疲れた」 「俺も。大学に入ってから全く運動しなくなったから、体力が衰えてきてるのかな」 「そうかもね。あれ、俊は高校何やってたの?」 「ハンドボール。マイナーだけど、あれ結構きついんだよ。夏美はソフトテニスだっけ?」 「うん。結構楽だった。顧問がいい加減な先生でね。でも私、県大会ベスト8に入ったんだよ」 「へぇー、それは凄いな」 「またやりたいなー、ソフトテニス。でももう出来なくなってるかも」 夏美が笑いながら言う。 と、そこで食事が運ばれてきた。 二人ともここの店のイチ押しメニューである、スペシャルパスタを頼んだ。 怪しげな名前だったが、味は最高だった。 夏美も美味しいとさっきから言っている。 15分かけ、完食した。 代金は俺が払い、店を出た。 空は黄昏れている。 我が家へ急ぐサラリーマンやOLの姿が目立つ。 俺らは池袋駅へ戻り、再び山手線に乗る。 ホテルに行こうか迷ったが、今日はそんな気分ではなかった。 新宿駅で二人は別れ、俺は自宅へ急いだ。
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