第1章 闇に隠れた死

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昨日と同じ平日の池袋。 人はやはり多いが、大学生くらいの年代が目立つ。 相変わらず空には雲一つない。 「池袋ってさ、普通どこ行くの?」 「だよな。やっぱりラウンドワン行かないか?あそこなら楽だろ」 俺は提案する。 「俺も賛成ー」 赤羽も無表情な顔で、同意する。 「じゃあそうするか。朝霞のラウンドワンでいいよな?」 田中が勝手に決めるが、異議はない。 結局、ラウンドワンに行くことが決まった。 「でもさ、三人って半端だからさ、栗林呼ぼうぜ」 田中が二人を見て言う。 たしかに三人という人数は半端だ。 栗林は同じ学科で、三人とも仲が良い。 彼はクールな性格そして甲斐性者。尚且つ甘いマスクで女を引き寄せている。 田中が既に右耳に携帯をあてて、栗林に電話をしている。 稍あって、田中が電話を切る。 「大丈夫だって。なんか今、この近くにいるみたいですぐ来るって」 田中の言う通り、10分後、三人が待っている池袋駅構内の無印良品の前に栗林が歩いてやって来た。 「お待たせ。赤羽、眠そうだな」 赤羽の眠そうな顔を見て、栗林が笑いながら言う。 「あと1時間もすれば目覚めるよ」 赤羽も笑いながら答える。 「さぁ行くか!東上線だよな、たしか」 「そうだよ」 四人は東上線に乗り、朝霞駅で下車する。 朝霞駅からラウンドワンまでは歩いて30分もかかるので、路線バスで向かった。 赤羽は幸せそうに寝ている。 やがてバスはラウンドワンの近くの停留所に到着した。 ラウンドワンに着いたのが、ちょうど正午。 腹が減り始めたころだった。
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