第1章 闇に隠れた死

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今日は6月12日。 俺はK大学のキャンパスを一人で歩いていた。 授業が終わり、これからコンビニのバイトの予定だ。 昨日の夜は数多のレポート課題を行ったため、睡眠時間は二時間。 物凄く眠く、歩きながらでも眠ってしまいそうだ。 現在、付き合っている桐谷夏美は、K大学から少し離れているM大学に通っている。 確か昨日の夜中、夏美からメールが来たような気がしたが、眠かったので内容は全く覚えていない。 緩慢な動作で携帯をチェックする。 (今日空いてる?) 思わず舌打ちをする。 返信をし忘れていた。 慌てて返信をする。 (今日はバイトで、その後はゼミだから無理) 俺は絵文字を使わない主義だ。まぁそんなことで主義なんていう言葉を使うのは間違っているかもしれないが。 たまに夏美に絵文字を使ってと忠告される。 まぁ気にしたことはない。 そんなのどっちだっていいことだ。 都会を行き交うサラリーマンの姿が目に入る。 忙しそうに歩いたり、携帯を片手に歩いたり… 俺も将来こんな風になるのか、と考えると気が遠くなる。 俺はそのサラリーマンの集団に入り、電車に乗りバイト先へ向かった。
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