第1章 闇に隠れた死

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もうすぐ夕方なので、あまり時間はない。 しかしそれはそれでいい。 俺は昔から動物が好きだ。 小さい頃から猫を飼い始め、犬やハムスターも飼った。 昨年、三代目の猫が死に、今は何も飼っていない。 幼稚園の頃は動物園独特の、あの臭いが苦手だった。 しかし何回も動物園に来ることによって、その臭いは別に何とも感じなくなった。 夏美にこの話を何回しただろう。 横に座っている夏美をちらりと見る。 携帯を弄っている。 夏美の携帯はiphoneだ。 俺はしばしば夏美からiphoneにしなよ、と言われる。 しかし俺は文字盤を押す普通の携帯のほうがいい。 俺の視線に気付いたのか、夏美の目が合った。 「何?」 「いや、それ使いやすいのかなーと思って」 「どうだろうね。携帯というよりはパソコンを小さくした感じだからね。でも私は使いやすいと思うよ」 俺は、へーと感心した仕種を見せた。 他愛ない世間話をしていたら、いつの間にか上野駅に到着した。
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