86人が本棚に入れています
本棚に追加
/406ページ
レンタルして来たボーカなロイドのCDの歌詞カードを、プリンターでせっせとコピーする姉、30代。
いい歳してボカロにハマんなって…
コピー開始からまもなく、シアンのインクが残り少なくなり、更にライトシアンも。
そして何故かライトシアンが先に力尽き、コピー不可能になった。
青使い過ぎだよ、ボーカなロイドちゃん…
翌日、インクカートリッジを買いにホームセンターへ。
売り場前で腕組みの姉。
「どれだっけ?」
調べとらんのかいっ!いや、私も調べて来なかったけど!
ケータイで調べて、多分コレと思われる、純正品…ではなく、安いほうを購入。
ほぼニートの姉もだが、我が家は金銭的に余裕などない。
さっそく力尽きたライトシアンを交換。
無事、プリンターは動き出し、姉はご機嫌な様子でコピーにいそしむ。
まもなく、先に警告が出ていたシアンも、天命をまっとう。
交換する姉。
「ん?」
姉がプリンターの液晶画面を覗き込む。
「『このカートリッジは純正品ではありません。このままお使い戴くと、従来の能力を充分に発揮出来ない場合がございます。また、故障した場合、無料修理期間内であっても、有料となります。このままこのカートリッジをご使用されますか?』…さっきはこんなメッセージ出なかったのに…」
純正品は次回からということにして、コピー再開。
しかし……
「…えっ? ダメだ、コレ。」
トラブルが発生した模様。
「ぜんっぜん印刷されない! 真っ白! 充分に能力発揮出来ない場合ったって、ここまでヒドいのか?」
確かにプリンターから出てくる紙は真っ白。
何枚試しても白、白、白……
「あーっ、もぅいいっ! 今度純正品買ってくるっ!」
ほんの数分前の上機嫌はどこへやら。
ATMの手数料を取られるのさえ嫌がる姉だ。この無駄な出費は、彼女を一気に不機嫌にさせるのに充分な力を持っていた。
私としても無駄使いはしたくない。
何とかならないかとプリンターに近づいた瞬間。
「…あ。」
どうした、姉ちゃん。
「もしかして、歌詞カード入ってない?」
確認する私。
「…うん。ないね。」
インクカートリッジのせいでもプリンターの故障でもなく、壊れていたのは、姉の記憶力だった。
その後、歌詞カードは無事コピー出来ました。
最初のコメントを投稿しよう!