彼女が告げるは始まりの合図

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寂れた風景。 その一言で済むくらいの風景が 今、僕の前にあった。 ここは某私立高校の屋上。 学校の屋上と聞けば、誰にも汚されることなく、塗装されたてのようなコンクリートや真っ白な壁や鮮やかな緑のフェンスがあり、グラウンドを一望できるもの。 それに風が通り、清々しい青空が広がったもの、なんてイメージするのかもしれない。 けど、そんなのは所詮、テレビの中の絵空事だ。 実際。 今、僕が見ている屋上は、一面、コンクリートが老朽化し、ひび割れていて、手すりや壁の塗装は隅々が茶褐色の錆まみれ。 それに、今日の空は曇り模様。  季節的に天候が不安定な梅雨だから、仕方ないのかもしれないけれど。 とにかく、それが現実だった。
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