冷たい海の底

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私たちは養子を捜しに施設にむかっている。     飛龍の親戚の子を養子にするという話もあったが、冬夜がそれを嫌がった。 施設に着くと一人の女の子がじっと、門の前で待っているのが目に入った。 「こんにちは」 私はその子にあいさつをした。 「……こんにちは」 その子はとても小さい声で返してくれた。 消え入りそうな声。 自分の存在を無にしてそうな子。 表情はない。 笑ったりは決してしなかった。 施設に入ると先生が部屋から出てきた。 「いらっしゃい、飛龍さん。待っていたわ」 私と冬夜は頭を下げる。 施設にはたくさんの子供がいる。 色々な家庭の事情があってこの施設で生活している。 休みの日には、親が迎えにきて実家に帰って行く子もいると言う。 私たちがいることに気が付いた子達が寄ってくる。 中には中学生くらいの子もいる。 やっぱり子供ってかわいいなぁ~。 私は呑気にそんなことを考えてた。 「この子なんてどうかしら?」 先生が男の子の肩に手を乗せて紹介した。 目がくりっとしててとてもかわいい。 かわいいって言ったら失礼かな。 絶対、かっこいい男の子になるなぁ。
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