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「この子は杉本龍也くん。
しっかりしてて、面倒見がいいのよ。とても13歳には見えないわ」
「はじまして」
そう言ってにっこり笑顔を向けた。
話し方も丁寧で礼儀の正しい子だった。
私は一目で気に入った。
この子を引き取ったら親子じゃなくて弟みたいな感じになるのかなぁ?
あの生意気な私の弟よりしっかりしてる。
「ねぇ冬夜、この子はどう?」
冬夜のほうをむいたら、全く、関心がなさそうに違うほうをみていた。
「冬夜……?」
「えっ?あ、なに?」
冬夜は私のほうに目を向けた。
「なにじゃないよー、もう」
私は冬夜が見ていたほうを目で追った。
その先にはさっき門のところであいさつをした女の子がいた。
「どうしたの・・・?」
「あの子、全く笑わないんだ」
先生も冬夜が見ていたところを向き、説明してくれた。
「あの子は中幡海羅ちゃん。
双子のお兄さんがいるんだけど、海羅ちゃんだけが預けられたの。
一年前に預けられたんだけど、ご両親は一度も会いに来ないわ。その時からずっと、誰とも遊ばないで朝から晩まで待ってるの」
朝から晩まで…。
双子なのに片方が預けられる。
いったいどんな気持ちなんだろう…。
先生は淋しそうな顔をしている。
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