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「ん~~今日もいい天気だ。」
青々とした木々と心地よい風を感じながら俺は親友を待っていた。
バサバサッ!
「?」
突然周りの鳥たちが騒ぎだし飛び立っていく。
ー嫌な予感がするー
さっきまでのゆったりとした時間が突然張り詰めてく。
「蘇芳-------!!」突然名前を呼ばれ、その声の持ち主の方を見る。
その瞬間、信じられない光景が瞳に映り、俺は絶句した。
ドンッ!
鈍い音と共に腹部に激痛が走り、生暖かいモノが流れだす感触をしっかりと感じた。
-今、なにが起きた?-
「…うっ…」
一斉に身体の血の気が引いていくのが分かる。
ほんの数秒前、俺は自分の名前を呼ばれ、振り返った。そこに居たのは琥珀。物心付いたときから兄弟同然に育ち、誰よりも心を許していた存在。その琥珀が刀を抜いて俺を…
-そうか。俺は斬られたんだ…アイツに。でも、何故?何故親友だと思っていた琥珀に俺が斬られなくてはならないんだ。-
腹部に走る激痛で動く事は出来ず、薄れゆく意識の中で俺は、ただ…ただ琥珀の顔を見つめる。最後に見たのは…琥珀の薄笑う顔だった。
- 唯一無二の親友だと思ってた。何があっても琥珀だけは俺を裏切らない。ましてや俺を斬るなんて…。言いようのない怒りと憎しみが俺を支配していく。
いいか。覚えてろ!必ずもう一度お前の前に現れてやる。そして、この借りはきっちり返させてもらうからな!-
そう誓って俺は、この世から消えた。
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