予兆

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キーンコーンカーンコーン♪ 今日の授業が終わるベルが鳴った。慌てて授業のまとめをする教師に見向きもせずに、生徒たちは帰り支度を始める。 僕は周りに遅れをとってしまった…が!別にそんなに急いでもいないし、まぁいいか。 いつものようにボーっと窓の外を見ているうちに、教室にはクラスの半数しか居なくなっていた。 『…っ…ろす』 「えっ?」 不意に誰かの声が聞こえてきた。 が、辺りを見回しても誰一人僕の周りにはいない。 キィィィーン!! 「いった!」 突然頭が締め付けられるような痛みが走り、堪え切れずに椅子から崩れ落ちた。 『…を…殺す』 またさっき聞えた『声』がする。聞いたことのない『声』。でも僕はこの『声』を知っているような… 「!!」 頭の痛みは弱まるどころか、段々と強くなってくる。痛みが強くなればなるほど、『声』ははっきりと聞こえ…そして次の瞬間、これまで経験したことのない激痛が走ったとき、『声』がはっきりと頭の中で響き渡った。 『琥珀を殺す。だから俺を出せ!』 その憎しみと哀しみが交ざった悲痛な叫びの意味が理解できず、僕は意識を失ってしまった…。
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