プロローグ

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しかし、タカは明らかに怯え、 ピストルを持つ手はガタガタと震える。 シズカがその手をそっと握った。 「私がやる。」 囁きの中に強い意思を感じさせるシズカの言葉が続く。 「ピストルをちょうだい。」 「ダメだ…。こんな仕事…女のお前にさせる訳にはいかねぇ…。」 タカは額の汗を拭い、 震えを抑えながら言う。 シズカは同情を含んだ瞳を細めて更に言う。 「貴方にはムリ…。」 言いながら、シズカはそっとタカの手からピストルを取った。 正直ほっとした…そんな自分を責める気持ちと、 シズカの強さを頼もしく感じる気持ちが、 タカの中に混在している。 「…殺すわよ…。」 淡々と囁くシズカに、 タカはこくりと頷いた。
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