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(嫌な光景…。)
何度も見てきた2人の微笑ましい姿は、奏哉を思う眞生にはいつもつらいものだった。
「勝手にして…。」
そうつぶやくと眞生は急いで階段を駆け上がった。 奏哉が自分の名前を呼んだが振り替えることはできなかった。
(なんで奏兄なんだろう?他にも男なんてたくさんいるのに…)
部屋に入り涙が出そうな目を両手で押さえた。
(なんで奏兄は姉ちゃんの彼氏なんだろう?)
嗚咽をもらさないように眞生は自分の手を噛んだ。 涙がとめどなくあふれだす。
(なんで私は…子供なんだろう。姉ちゃんよりなんで後に産まれたんだろう。)
噛み付いた手から血がにじみ出てきていた…。
その痛みよりも心が痛く眞生には感じられなかった。
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