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――夜はかなり涼しくなってきたんだな…
やっと猛暑がすぎて、日が落ちるのがずいぶんと早くなってきた日の夜、小腹が空いた僕は、ひとりでコンビニに向かい歩いていた。
まだまだ暑い日中に比べ、夜の風はひんやりと冷たく、秋の始まりを知らせている。
それにあわせて、秋の虫も心地いいリズムで羽を震わせる。
――何、食おう。
僕がコンビニに足を踏み入れると、知った顔がいることに気がついた。
「小島??」
僕の声に、少し驚いた様子を見せた彼女は、気のせいか、ホッとしたような笑顔で近づいてきた。
「お買い物??陽一くん」
僕は勝手なイメージで、彼女はコンビニとかには立ち寄らないタイプだと思っていた。
なんだか、彼女の放っ雰囲気とコンビニが、どうにも繋がらないと感じてしまう。
今実際に、こうして見ていても、まるで合成写真のように思える。
「ちょっと小腹が空いて…小島は??よく来るのか、このコンビニ」
すると彼女は、ふるふると首を横に振り、
「あんまりコンビニ行かない。ここにも初めてきた」
そう言った。
その言葉を聞いて、
――だよな。
そのほうが、『らしい』よ。
と、妙に納得した。
「私、この近くのマンションに住んでて…
ちょっと飲み物を買いに、コンビニ初挑戦してみたの」
「そか。んで買うもの決まったのか??ついでだから一緒に買うよ」
「え。でも…」
彼女は少し遠慮するそぶりを見せたが、僕がにっこり笑うと、素直に僕の好意を受け取った。
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