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ガチャ 「どうぞ。」 梓さんが助手席側のドアを開けてくれたので、ドキドキしながら乗り込んだ。 「あ、ありがとうございます!」 あぁ…いい匂い…。 「あの…何処に行きます?」 運転席に座り、俺の方をチラっとみながら聞いてきた。 何処いこう…… あ! あそこの公園がいい…! 高台みたいになってて町を一望できるし、人もいない…。 「あ…あの…星岡公園ってしってますか?」 「う、うん。」 「よかったら、そこに行きません?」 「いいですね…それより、森山さんって多分自分と同い年ですよね?」 コンビニで名札を見てくれていたので、俺の名前をしっている梓さん…。 「は、はい!多分…。俺、今年で18になります。」 「あ、ならやっぱり同い年ですね!なら、自分なんかに敬語使わなくていいですよ?」 「そ…う?じゃ、じゃぁ、あ…じゃなくて、名前聞いていい?」 あぶねっ 危なく梓さんって言いそうになった… 「あはは、自分梓って言います。あ、森山さんの下の名前って何ですか?」 「梓さんかぁ…あ、俺下の名前は斗雷(トライ)っていいます!…って、梓さんも敬語外してくださいよ!」 「う、うん。分かった…カッコイイ名前だね!」 梓さんは、車を発信しつつ、ぎこちないタメ口に口調を変えた。 っく~! 萌えー!! 「カッコイイ…かな?ありがと。でも、渡来人とか言われてたまにからかわれるけど」 「あはは、渡来人面白いね。あ、あと梓さんって呼ばなくてもいいよ?昔みたいに呼んでくれて…。」 梓さんは笑いながらそう言ったが、俺の頭には?マークが浮かんだ。 ……? 昔? 梓さんとこうやって話すのも初めてなのに… もしかして、保育園が一緒だったとか…? ……う~ん… 良く覚えてないけど、保育園の時に梓って子がいた覚えもいし…。 じゃ、昔って何の事だ?? 「……ダサ男…。」 「えっ!?」 俺が頭を捻っていると、梓さんがそう呟いた…。 「昔、駅で自分の事ダサ男って呼んでたでしょ?」 「えっ、あっ…あのっ!?」 えっ?えっ!? もしかして俺と慎吾の会話が…聞こえてた!? やべっ やべぇよ! どうしよう!! 「…あ、あの、自分は気にしてないから大丈夫だよ?」 慌てる俺の反応を見て、梓さんが気まずそうに言った。
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