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あれは約2年前の事…
俺は、高校受験で連れの慎吾とめでたく合格し、入学式も終わって、明くる日、少し不良ぶって駅で電車を待っていた時の事だった…
「…なぁ、あれ見てみろよ。」
慎吾に肩をこずかれ、その先に目を向けた。
「…何だあれ?」
そこには、少しブカブカのブレザーを来て、可愛いリュックを背負い大き目の靴をはいた、一見女の子にも見える前髪パッツンの男の子がいた。
「ぷっ、何だアレ?ダセぇー」
そう、ケタケタと慎吾と笑いながら見ていた。
男の子は、駅は人がいっぱいいて怖いのか、キョロキョロと回りを見渡していた。
「あいつ、ビビり過ぎじゃね?」
「だよな、どんだけ人込み苦手なんだよ。」
「間もなく、一番線に下り列車が参ります。危ないので白線の内側で――」
俺達が笑っていると、不意にアナウンスが流れた。
すると男の子は、ハッ!っとしたように走り出した。
次の瞬間、
ゴン!
「あぐっ!!」
走り出し、キョロキョロとしていた視線を前に向けた瞬間、柱にぶつかって、反動で座り込んだ。
「ぶっ…クックック」
「ぶはっはっははは」
俺と慎吾は、同時に吹き出した。
やべ、マジウケるw
そのまま笑っていると、男の子は鼻血を垂らしながら、恥ずかしそうにホームへと走って消えて行った。
「…なぁ、斗雷…。」
一通り笑った所で、慎吾が声をかけて来た。
「ん?」
「あの制服…うちらの高校と反対方向にある学校だよな…」
「うん、たしかそうだった。」
「だったら…下りじゃなくて上登りじゃね?」
「ぶはっ!!確かに!」
俺は盛大に吹き出し、目茶苦茶笑った。
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