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中立地区には鬼も人間もごっちゃ混ぜになって活動しているので、事を起こすにはもってこいの場所だったりする。
ただ、この地区で生活している住民には、もはや人種差別というものが無く、鬼も人間も歩み寄った、一歩先行くライフスタイルを実現している。
そして、中立地区から独立した国として機能しようとしていた。
恐らく、今回のテロはその独立の阻止も兼ねているに違いない。
「ていうか、爆弾テロって勝手に断定しましたけど、他の可能性もあるんじゃ・・・」
「えっ、貴女、テキトーな事言ったの?」
「違いますよ。あくまで可能性の一つとしてですね」
「いや、ほんとに爆弾がある」
「ほんとに!?場所は?」
「平和の象徴、スカイツリー」
「うわ~、ベタですね~」
和平条約締結と共に建てられたタワーである。キジミの言った通り、随分とベタな所に仕掛けたなと思う・・・見つけてくれと言ってるようなものじゃないか。
「それにしても、ここの皆さんは随分とワイルドな格好をしてますよね」
「ん?ファッション通のキジミでも知らないのか?あれは、ここの衣裳というよりも、鬼側から入ってきた鬼服っていうらしいよ」
「その儘じゃないですか!?よくもまぁ、布を巻いただけのような服を恥ずかし気もなく」
「ここでは、今まで無かった文化交流があるから、珍しい物が沢山ある」
「へぇ・・・桃子ちゃん!あのピンク色のホテルは何ですかね?一緒に」
「ねぇ、ほんと死んでくれないかしら」
くだらない話をしている内にスカイツリーに着く。
天空を貫く純白の塔は正に平和の象徴に相応しい。
何故か入口には貸し切りの立て札があった。
一般人が入れるのはロビーと展望台だけなのだが、展望台が貸し切られる事が屡ある。
しかし、様子がおかしい。
「二人、ロビーと展望台に一人づつしかいない。あと爆弾」
テロなら私達を待つ必要が無いのである。
「何考えてるのかしら?キジミ頑張ってね」
「は~い」
あからさまに嫌がるキジミ・・・ていうか、コイツこんな狭い空間で戦えるのか?
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