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部屋は間接照明で薄暗い。
仄に香る薔薇のアロマ。
桃子がベッドに丸くなってぐっすり眠っている。
微かにスースーと寝息をたてている。
ふわふわレースのネグリジェ姿は、彼女の性格を、ある程度把握するのに十分だった。
しかし、肝心の目的の物が見当たらない。何処にあるか探していると、部屋のドアが静かに開かれ、照明の光が差し込んできた。
仲間のキジミが惚けた様子で佇んでいる。その手には・・・、
「キジミ、それ」
「きびだんごくすねちゃいました」
確かに、桃子とやたら仲の良いキジミだ、中毒になっていても不思議ではない。寧ろ、なってない方がおかしいな・・・。
私は桃子を起こさないよう、声を小さくして聞いた。
「そのきびだんご渡してくれないかな?」
「嫌です」
「私の能力忘れてるんじゃないの?」
「貴女こそ」
そう言うとキジミがふわっと宙に浮いた。大気を操る・・・それが彼女の能力。
凄い勢いで突風が巻き起こると、家が吹き飛んだ。
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