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桃子が眠たそうな顔をして佇んでいた。腕にピンク色の枕を抱いている。目を擦ると、不機嫌そうな低いトーンの声で言った。
「貴女達なにしてるのよ」
「わんこちゃんが私の食べようとしてたきびだんごを横取りしようとしたんです~。私!桃子ちゃんが助けてくれて超感激だったりします!」
嬉しそうにキジミが語る。内容はまるで子供の喧嘩だが、私は真面目である。
「ふ~ん」
そう言って微笑を浮かべる桃子。
チラっと視線を私に向けた。
「キジミ、わんこにあげなさい」
「え~っ、食べたかったのに」
私は骨の操作をやめて、それを戻した。そして、下に降りてきたキジミからきびだんごを受け取る。物欲しげにキジミに見つめられる。
・・・釈然としないな。
「なんで!」
すると、発作が起こった。
グラッと視界が揺れる。
意識が朦朧としてくる。
「それが欲しかったんでしょう。食べなさいよ」
私は唖然とした。
言われるが儘に食べたのだが、症状は良くなるどころか悪化したのである。
桃子が跪ずいている私に近づいてきた。
目の前で止まる
しゃがむ
見つめ合う
微笑
頬に手を当てられると感じる温もり
目をつむる
縮まる距離感
ゼロになる
私には理解出来ない。混乱の中で、ピーチミントの爽やかで甘い香りが口に広がるのを感じた。
甘い唾液が浸透していくのを感じた。
何故かそこで発作が和らいでいった。
そして、桃子が私を見詰めながら言った。
「私の唾液って中毒性があるの」
・・・・・・
マジで死んでしまいたい事態だ。
キジミが桃子に飛びついた。私も!と懇願するが、ビンタされ、突き返されていた。
バーカ!
めでたしめでたし
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