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つい早急修繕して貰ったばかりのリビング。ワックスでフローリングの床には光沢があった。
素朴な木目調のテーブルを三人で囲み寛いでいる。桃子はかったるそうに、テーブルの中央に置いてあるきびだんごを摘んでは食べている。私は頬杖をついてキジミを眺めていた。キジミは、紙を睨みつけ、顔をあげると得意げに語り始めた。
「はい!今回のミッションですが、近々、中立地区において、大規模なテロが行われるとかで、それを阻止して欲しいと、おばあちゃんから」
人側のトップの一員には、桃子のおばあちゃんとおじいちゃんがいる。釈然としないが桃子はかなりのエリートなのである。
勿論実力もあり、信頼もあるので、おばあちゃんから大事なミッションを依頼されることが多い。そのミッションと一緒にきびだんごが沢山送られてくる。
「中立地区で?そんな事が起こったら戦争が勃発するぞ」
「そうなんですよ~。それが向こうの目的でしょうね~」
いけしゃあしゃあと語るがほんとに事の重大さを理解してるのか?
「向こうはこっちを鎮圧する自信があると」
「真意の程は解りませんが、そう思っても良いかと」
「ねぇ、何でそんな面倒な事を私達がやらないといけないのよ。白雪とかデレラにやらせておけば良いじゃない」
文句ありげにそう桃子が言う。事の重大さを全く理解出来てないヤツがいた・・・。私は溜息をついた。
人側の暗部は幾つかの部隊で構成されているらしい。今名前の上がった白雪やデレラは別部隊の長である。部隊の長にでもなれば、相当な実力者である事は確かだ。
そして、どうにも、長同士の仲は悪いようで、いつ内部分裂が起こってもおかしくないような現状だそうだ・・・鬼側の結束の堅さを見る限り人間側は歩が悪い気がしなくもない。
「そう抗議をしたんですが、生憎、白雪ちゃんもデレラちゃんも他のミッションがあるとかで・・・それに、さっきしてもらった家の修繕費が」
「貴女がやったんじゃない。貴女が行きなさいよ」
「うっ!・・・もとはといえば、わんこちゃんが私の食べてたきびだんごを横取りしようとしたのが悪いんですよ!」
私は呆れた顔をして、キジミを見た。
「なぁ、もっとまともな流れで私にふってほしかったんだが」
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