死と裏切りの恐怖

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「は、班長……っ、今のは一体………狗獣溶けて消えちゃいましたよ…!?」 今までの様子を離れたところから見ていた凪は、千里達を指差し、俺の服を引っ張った。 俺は煙草を取り出し、口にくわえ、火をつけた。 「赤い………まるで血だ……」 口元を押さえ、目の前で起きた現状から目を逸らせないでいる凪。 俺は煙草を口から離し、煙を吐きながら言った。 「ありゃあ、狗獣使いの血だ。 狗獣は契約した相手の血を媒体とし、生命活動を維持する その生きるための契約を破棄されれば、狗獣は死ぬ…… 逆もまた然りってな」 「狗獣から契約破棄を申し出れば、死ぬのは人間の方……って事ですね…」 「そういう事だ。 人間の方から契約を破棄すれば、狗獣は死ぬ その代わり、その人間は二度と 狗獣と契約を結べなくなる 狗獣から契約を破棄すれば、人間は死に、狗獣は“卵”に戻るっつー、分かりやすいシステムだ」 俺がそう言い終えると、凪は卵…と呟いた。 俺はまた煙草を吸い、千里達を 見つめた 「だから言っただろ……? 狗獣使いになんかなるもんじゃないってな…… 互いの命を握り、いつでもパートナーの命を奪える いつ裏切られ、 いつ死ぬかも分からないって事だ まともな精神じゃいられねーだろうよ」 「……………」 「ま、互いが信頼し合えれば これほど頼もしい相棒はいないんだろーけどな」
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