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「お久しぶりです……奏人さん」
「ああ、久しぶり……だな……
千里」
「………………」
「………………」
二人は一言二言言葉を交わすと黙り込んでしまった。
暫く沈黙が続き、何とも言えない空気に限界を迎える俺、神野凪くん。
何かよく分かんないけど
ここは俺が何とかせねば…!
そう思い、意を決して口を開こうとした俺であったが、その行為は黒いものによって遮られた。
「キュー………キュキュキュ、キュー!」
「…………」
キュ?
何か黒いものから可愛らしい鳴き声?が……
鳴き声が聞こえた方に目を向けてみれば、そこには真っ黒な狗獣が綾鷹千里の足をガリガリと鋭利な爪で掻き回していた。
すると綾鷹千里は狗獣の首根っこをガシッと持ち上げた。
「オレを忘れるなって?大丈夫、みんな眼中にないから」
「キュー!!!(何だとー!!!)」
「なっ………な、な、な……」
「キュ?(ん?)」
「なんだこれぇぇぇ!!」
「キュ〰〰!!?(ぎゃああ!!?)」
俺は狗獣の可愛らしさに感極まって、黒い狗獣に飛び付いた。
綾鷹千里や班長が驚きの余り
固まっているが、そんな事この際どうだっていい!
俺は人目も気にせず、黒い狗獣に頬擦りした。
「何だこれ何だこれ何だこれぇぇ……チョ~可愛いんですけど!!もふもふしてるよぉ~ ふわふわだよぉ~。持ち帰りてぇー」
「キュッ!キュキュキュ!?キュキュ~(ちょっ!何だ貴様!?はなせ~)」
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