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「せ、千里………」
俺がそう呼ぶと、千里は応えるように優しく笑った
それと同時に些原が一歩、後ろへ下がった
そして
「──千里!?」
「………っ」
千里は崩れるように、地面へと
膝をついた。
片膝をつき、お腹辺りを手で押さえている
まさか………
「まさかお前ッ、刺されたのか!?お、俺を庇って……」
「大丈夫……危ない、から………下がってください」
「あ、おいっ!」
千里は血がついた手で、俺の体をぐいっと押してきた。
力が入らない俺の体は、
ぐらつきながらも簡単に後ろへと下がってしまう。
「うわ………わっ」
転けそうになった時、壁のようなものに背中がトンッと当たった。
俺は反射的に後ろに目をやる。
そこには機嫌が悪そうな班長が
立っていた。
「は、班長!早く彼をとめないと!血が……俺を庇ってグサッて!」
「落ち着け馬鹿野郎」
「……………」
「あいつなら大丈夫だ。
命の心配より……俺はあいつ自身が心配だ……」
「………?どういう……」
「ぎゃああぁあ!!!」
「っ!?」
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