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「全くもう…………面倒な事は起こすなって言ったのに。帰ったらお仕置きね」
人混みの中から一人の女性が現れた
その女性、青い蝶が描かれた綺麗な着物を着ていて、着物と同じ蝶が舞っている扇子を、優雅に揺らしている
青みがかった髪に青い簪(カンザシ)
声と同じように艶やかな容姿はまさに和服美人……
綺麗な人だぁー………
「出てくるのちっと遅すぎやしねーか?
紫呉(シグレ)」
見惚れていると、班長が和服美人さんに向かって口を開いた。
しぐれと呼ばれた女性は、扇子で扇ぎながら、ゆったりとした口調で言葉を返した。
「あらそう?とてもいいタイミングだったと思うけれど……
私のやる事にケチつけるなんて、偉くなったわね、奏人さん?」
「……うるせぇよ」
班長は煙草の灰を落とし、はぁと白い煙とともにため息をついた。
俺は班長の服を引っ張り、こそこそした声で班長に問い掛ける。
「は、班長!誰ですかあの美人なお姉さんは!まさか班長の…!?」
「んなわけねーだろ」
「あたっ」
班長はグーで頭を殴ってきた。
何故殴るの……(泣)
班長は煙草を深く吸って、上に向けて煙を吐くと、面倒くさそうに言った。
「あいつは閖政紫呉(ユリマサ シグレ)
狗獣使いの中で最強と言われている、数少ない第零特闘員の一人だ」
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