もう一人の零員

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そして紫呉さんを見ながら 口を開く。 「うむ、皆まで言うな凪…… 俺も初めて会った時はとても…、言葉にならないくらい驚いた。 あいつは……閖政紫呉は…」 ───天使な顔して実は黒い!! 「この私の手を煩わせるなんて………地面にキスをして私の前に跪きなさい」 さ……… 「詐欺だーーーー!!!」 今日一番の渾身の雄叫び 初めてだ…… こんな見事に裏切られた ギャップは!! 俺は恐る恐る、紫呉さん……いや、紫呉姉さんを見た 同時に目に入る千里の姿… 些原に跨って、喉元ギリギリにナイフを突き付けたまま、固まっている 心なしか、顔色が悪いような… そう思っていると、千里の口が僅かに動いた 「………解けよ…」 ……?何を……? 千里は今まで溜めていたものを 吐き出すように、叫んだ 「俺にかけた“言霊”を解きやがれ!───ババア!!」
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