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喋る四足歩行の動物
ここは街中
すれ違う人々は、少年や少年のつれている動物に目を向けるも、動物が喋っている事に関して驚くものはいなかった。
少年はクスクスと笑いながら、喋る動物、リランへと言葉をかける。
「いいねぇ犬、俺は犬大好きだ。大丈夫だリラン。お前はどっからどう見ても、ささくれた犬だ」
「喧嘩売っておるのかお前は。
どこに尻尾が二本生えとる犬がおるか!」
「分かった分かった、そう怒るなよ。今から仕事なんだ……仲良くいこーぜ、相棒」
「…………」
少年の態度に怒ったのか、リランはトテトテと足早に少年を抜き、ツーンとした態度で少年の前を歩いた。
するとリランは少し機嫌が悪そうに、少年の前を歩きながら口を開いた。
「そーいえば、指令部からデータが届いておったぞ。この街にいる指名手配者について」
「どんな奴?」
「些原 祐司(サハラ ユウジ)34歳男性。これまでに四度、殺人を犯しておる。うち三人は一般人、もう一人はオレ達の仲間だ。こんな街中に姿を見せたのは、オレ達への当て付けか……それとも余程の捕まらない自信でもあるのか…」
「そりゃご大層なこって。
強いのかなぁ……そりゃあ強いよなぁ?俺達挑発するくらいだし。勝てるか不安だわ、俺。」
「よく言う……顔、にやけておるぞ」
「にやけてねーよ。超絶、いい笑顔だろ?」
「ほざいておれ」
リランは少年の言葉にやれやれと首を振り、少年は薄く笑みを浮かべ、楽しそうに、歩みを進めた。
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