8人が本棚に入れています
本棚に追加
少年とリランが歩き始めて数分が経ち、ふと少年が足を止めた。
それにつられて、リランも足を止める。
リランは少年を見上げた。
「どうした?」
「いや………懐かしい匂いがすると思ってな…」
「懐かしい?」
少年に言われて、スンスンと鼻を鳴らすリラン。
ああ、と声を漏らした。
「…この街を調査していたのは
奴の班だったのか。
確かに、懐かしい匂いがする。
ちとタバコ臭いが」
「ヘビースモーカーだからな。
あの人は」
ははっと笑うと、少年はコートのポケットに手を入れたまま、再び歩みを進めた。
「4年……か」
呟かれた言葉
リランはその言葉にピクリと反応したが、口は開かなかった。
少年は遠くを見据えたまま、
ポツリ、ポツリと言葉を紡ぐ。
「結構かかっちまったけど、
そのツケはこれから払う………。
奴らの 命で 」
静かに燃える
冷徹な青い炎
その炎は少年の瞳を揺らす
狩るべき“獲物”を
その眼に映して…
少年は 笑う
最初のコメントを投稿しよう!