【狗獣】

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―シガル街頭E-03地区― 街の通行人に紛れて、一人の男が妙な動物を連れて歩いていた。 その様子を少し離れた場所から 視察する数人の人影 私服を着ているが、彼らは 調査隊である。 街人に紛れ、男を追っていた。 そんな彼らの一人、カフェテラスに座る男が、新聞を読むふりをしながら呟くように言った。 「班長、あの動物って………あれですよね、あれ……あのー……あれですよ!」 男はあれあれ言いつつ、指名手配者に目を向ける。 すると男の目の前に座る人物が、煙草の煙を吐きながら、呆れたようにため息をついた。 「お前なぁ、いい加減覚えろよ…何回目だその質問は?あ?」 弥鐘 奏人(ミカネ カナト) 28歳 特別調査隊第五班 班長 「だってー、覚えにくいんですもん。それに俺、新人ですし」 神野 凪(カンノ ナギ) 21歳 特別調査隊第五班 新人 「全っ然覚えにくくねーよ! 新人とかって甘えてんじゃねーぞこら」 奏人は煙草で目の前の人物、凪を指して声を張り上げた。
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