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「俺は今勉強中なんです。まだ生まれたてなんです!だから優しく接してあげてください」
「お前に優しさは要らねぇ」
スパーと凪に向かって煙を吐けば、凪は露骨に嫌そうな顔をした。
俺はふっと笑い煙草をくわえ、
席を立った。
「どこ行くんすか?」
「どこって……お前な…追跡すんだよ。もう通過しただろが」
「え。あれ、ほんとだ」
「……………」
「それで、さっきの話ですけど…」
指名手配者の数m後ろを歩いていると、凪は鼻を押さえながら話し掛けてきた。
俺が臭そうに思われそうだ…
いや臭くねーけどな!?
ちょっと煙草の匂いがキツいだけであって
断じて俺が臭いわけではない
「ところでさっきからどこ見てんですか?星はあっちすよ?」
「お前は尾行する相手をずっと見つめる気か。視界に入ってるから見失わねーよ」
「なるほど。」
「…………」
俺は深くため息をついて、煙草を携帯灰皿にギュッと押しつけた。
そして灰皿を懐にしまい込み、
ボソリと呟く。
「【狗獣-クジュウ-】」
「え?」
「狗獣……奴らの連れてる動物の名称だよ」
「ああ、狗獣…………俺覚えるの苦手なんですよね……努力はしてるんですけど……でも狗獣は覚えました!!」
「うるせぇ。大きい声出すな阿呆!てか基本的な事は覚えろ!」
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