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自己中心的な考えだとは理解している。だけど、心には霧がかかり、やがて光を失わせていく。それは行動に移り、脳内を支配するのだ。もうどうしようもない。
多分、一生変わらないだろう。何か強い刺激が外から入れば別だが、それも望めない。自分は死ぬまでこのまま。誰とも深く関わらず、絆を捨てて、死んだように生きていく。
分かっていた。妹も、義理の両親も自分を心配し、立ち直らせようと頑張っている。頑張って、努力しても自分は変わらない。その事に嫌気がさすのに、変わらない。
あの光景が脳内を汚染して、自分の中を壊していくのが分かるのだ。一つ一つ、無くしてはならない何かが壊れていく。自分にとって、あの光景は間違いなく地獄だった。
暗い気分を抱えたままベッドから降りる。こんな祐一だが、学校だけはきちんと行っていた。なるべく両親に迷惑をかけずに生きていこうという意識はある。両親は祐一を立ち直らせるには学校に行くのが一番と考えているらしく、祐一もそれに従っていた。
家から徒歩で10分の場所にある公立の高校。そこを受けた理由は、ただ近いからというだけ。レベルは中間くらいで、可もなく不可もなく。
学校に行き、誰かと適当に話し、家に帰って寝る。そんな生活を続けていた。惰性のように生活をしている事は分かっているのだけど、もう諦めている。
一度だけ陰鬱なため息をついた祐一は無表情のまま着替えを済ませ、部屋を出た。
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