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「七曜の魔女、
パチュリー・ノーレッジ…
まずは貴様からか?」
「甘く見ないで。
今日は喘息の調子も良いし、
本気でやるわよ。」
「解っていないな。
吸血鬼を相手にするのが
どういう事なのか」
トロオドンはニヤリと笑った。
「余裕でいられるのも今の内よ。
水符『プリンセスウンディネ』」
「青龍『地獄の滝壺』」
強力な流水同士がぶつかり合う。
カーペットや壁に水が散って、
濡らしていく。
「木符『シルフィホルン』」
「水に強い木系魔法か…
玄武『土蝋超特急』」
パチュリーの基準とする魔法は、
五行の元素と二対の光。
火は水に、水は木に、木は土に、土は金に、金は火に弱い。
彼が繰り出したのは岩の塊、
つまり土である。
この戦いは後出しが有利。
そういった考えが盲点だった。
「木&金符、
『エレメンタルハーベスター』」
パチュリー・ノーレッジは、
多属性魔法を組み合わせる技術と
多少の相性なら無視してしまう、
強い魔力の持ち主でもあった。
生成された丸鋸が岩の塊を切断し
トロオドンを襲う。
「白虎『クリティサイス』」
真空刃でそれを相殺する。
相手もレミリア程ではないが、
妖怪最強の部類に入る吸血鬼。
負けず劣らず、強い。
それを十分理解しているパチュリーと、
魔女を甘く見たトロオドン。
分はパチュリーにある。
「咲夜さん、大丈夫ですか?」
「ありがとう小悪魔。
大丈夫とは言えないけれど。
そう言えばフラン様と美鈴は?」
「御二人共、咲夜さんの代わりに家事をしていたんです。
お嬢様は出掛けておられましたし
パチュリー様は咲夜さんの行方を探していました」
「…私があの男に負けたせいで、
迷惑をかけてしまったようね…」
自嘲するかのような咲夜の口調。
小悪魔はすぐにそれを否定する。
「迷惑だなんて!
咲夜さんは…そう、家族同然で!
お気になさらないで下さい!」
その言葉には並みならぬ熱意が
込められていた。
落ち着いて、と咲夜が
なだめていなければ、
もっと長く語っていただろう。
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