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「(どっ…どういうこと!?)」
咲夜の思考が止まる。
話が読めない中、
レミリアが吐き捨てるように
呟いた。
「知ってる奴がまだいたのか…」
「やはり真実か。
遺伝子に孤独を強要させられてた
俺達吸血鬼でも、情はある。
なぜ吸血鬼を皆殺しにした!?」
「他人に言えるような理由は
持ち合わせていないわ」
聞き終えると同時に、
咲夜の悲鳴が上がった。
「な、何を…!」
「言え。メイドが苦しむぞ」
痛み以外感じない手を剣で貫いた彼は冷たい声で言う。
しかしレミリアは黙りこくった。
よほど隠したい物なのだろうか。
今度は咲夜の脇腹を蹴る。
「うぐぁっ!!」
「吐け」
声に冷たさが増してくる。
反対に、復讐の炎は逆に燃え上がってきているようだ。
「………」
「言わないか?
なら次は目の一つでも潰すか」
「…話すわ」
決断にかなり時間がかかってしまったようだが、
レミリアは決心を決めたらしい。
それを聞いて油断したのを、
レミリアは見逃さなかった。
「必殺『ハートブレイク』!!」
手から放たれた紅い矢が青年を貫き、吹き飛ばす。
レミリアは咲夜を抱き抱えると、
反対方向へと向かった。
「咲夜…」
手や足につけられていた拘束具を砕く。
呪いがかけられていたのが解ったためだ。
咲夜は荒い息を整え、弱々しい顔つきでレミリアを見た。
「申し訳ありませんお嬢様…
御手間をかけさせてしまって」
「そんなこと、
言ってる場合じゃないでしょ」
パチュリーのいる部屋まで来た。
ドアを乱暴に開けると、予想通りパチュリーがいた。
図書館から出たときは
大抵ここにいる。
「パチュリー、咲夜の治療して」
パチュリーは咲夜を見た途端に、
かなり驚いていた。
まあ行方不明のメイドが両腕右足大火傷で帰ってくれば無理もない。
「招いてない客が来てる。
そいつの仕業よ」
言うなり扉が吹き飛んだ。
「なるほど、こりゃ過激ね」
パチュリーは本を構えた。
ところがレミリアはそれを遮る。
「コイツは私の過去のしがらみ。
パチェの出る幕じゃないわよ」
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