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「これについては追々話すわ。
今は二人から離れないと」
パチュリーは小悪魔を呼ぶ。
「でも、お嬢様が」
「咲夜、あいつはレミィが倒さなきゃいけない相手なの。
詳しくは後で話すから」
小悪魔が咲夜を持ち上げる。
敵が近いため場所を移すようだ。
「さて、部外者は居なくなった」
「なら、話して貰おうか?」
青年の前へ戻ってきたレミリアは紅い光を纏った手をちらつかせながら、鼻で笑う。
「今から死ぬ奴に教える事は、
私の偉大さくらいよ」
「なら、力づくで捩じ伏せるとしよう。
その後は貴様に
生き地獄をくれてやる」
剣を抜いた青年と、
爪を構えたレミリアが同時に
ぶつかり合った。
「ここまで来ればもう大丈夫ね。
すぐ始めるわ」
廊下で魔法による治療が始まる。
咲夜はぼんやりと思考にふけていた。
「応急処置は済んだ。
こぁ、医療器具。」
「はい」
手早く手当てするパチュリーに、
咲夜はもう一度聞いた。
「あの…お嬢様は昔何かなされたのですか?」
「………レミィは、常識を超えた力をもって生まれたの。
当時吸血鬼で知らぬものは居ないとされたスカーレット家に。
貴方は幻想郷においての
吸血鬼の掟を知ってる?」
「聞いたことくらいは。」
「あれがあるから、
人間が吸血鬼に出会わなくても
何の不思議もない。
じゃあ妖怪や同族は?」
咲夜は思い返す。
そういえば、今まで他の吸血鬼が話題に上がったことはあっただろうか?
「誰も会っていない。
当然よね。
つい二百年前近くに、
滅んだんだから」
「どういうことなんですか…?」
「ある強大な力を持った吸血鬼にやられたのよ。
いくら弾幕勝負のルールができたからって、被害がゼロになるのはムシがよすぎる」
「その吸血鬼って…」
「レミィよ。
原因はフランの特異体質」
「特異体質…ですか?」
「吸血鬼の翼の大きさは強さの証でもある。
レミィの大きな翼は生まれた瞬間から親すら恐怖を抱いたほどよ。
そして五年後、貧弱で翼膜も無い
最低レベルの翼の持ち主が生まれた」
「それが、あのフラン様…?」
「あの子は生まれてすぐに
地下に閉じ込められた。
親にすら見放されて、ね。
レミィは何とかしようと思って、
必死で方法を探したわ。
そして数百年経った後に、
私と出会った。
全部話してくれて、私は多少の手段を選ばないのなら、とレミィに提案した。」
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