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「何よ、言いなさい」
「これは厳しい条件だけど。
掟を破ることになるわ」
パチュリーの言葉を、
レミリアは笑い飛ばした。
「掟なんか目じゃないわよ。
私は吸血鬼を全滅させる。
そして私の名が知れ渡れば、
フランも…」
「じゃあ、言うけど…」
「フランの翼についている宝石は
殺した吸血鬼の血から作られた。
それを幾つか作って、
レミィの半分以上の力を注いだ。
でも、まだ足りないと感じて、
レミィは吸血鬼の秘宝、
禁忌の魔導書を盗み、
フランに同化させた。
あの子のスペルに禁忌やら禁弾がつくのは、それに載っていた技だから。」
「……………」
咲夜は黙って聞いている。
少しホッとしているような顔だ。
「その事件は風化したと思っていたんだけれど…
これじゃフランを閉じ込めた意味がないわ」
「風化するまで、フラン様を外に出さないおつもりだったのですか…」
「それと、力が完全に体に馴染むまで、ね。
そしてフランは外へ出たいと思えるようになった。
魔理沙や霊夢の影響で。
後はフランが力を上手く使えるようになれば、
全ては解決する筈だったけれど」
「とり逃しがあったわけですか」
咲夜は納得した。
いや、無理矢理納得させた、
というべきかもしれない。
いきなり言われたことであり、
正直混乱している。
しかし、これだけはわかった。
レミリアの、フランへ向ける
底無しの愛と覚悟。
そして、それを守りたい自分。
「くっ…」
「どうした、その程度で私に復讐するつもりなの?」
笑わせないで、そう言いながら
レミリアは技をまた仕掛ける。
「行きなさい僕共。
『サーヴェントフライヤー』」
「『サーヴェントフライヤー』」
使い魔として蝙蝠を繰り出す、
殆どの吸血鬼が持つ技。
しかし、レミリアのそれは
質も量も規格外だった。
青年は掻い潜ってきた数匹の蝙蝠を切り払う。
しかし、次の瞬間レミリアが前を通りすぎたかと思うと、
剣は綺麗に刀身を無くしていた。
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