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「カーマイン家の宝刀が
いとも簡単に…」
「カーマイン?
ああ、あの家系だったのか。
青髪の吸血鬼なんて、そこくらいだものね。
納得したわ」
レミリアが優雅に着地する。
「許せとは言わない。
せいぜい恨むのね。
私と貴方の運命を…」
「レミリア・スカーレット…
貴様には死を越える苦痛を与えると言ったはずだ…!!」
彼の手に青い光が集まる。
「このトロオドン・カーマインの力の前に平伏せ!」
右手に蓄積させたそれを、
思い切り解放させた。
「何か…聞こえる…」
パチュリーが小さく溢した。
咲夜と小悪魔も気付いたようだ。
その方向を見る。
「あ、あれって…!?」
押し寄せる激流に息を呑んだ。
廊下はじきに水没してしまうかもしれない。
パチュリーと小悪魔は咲夜を空中へ引っ張り上げてやり過ごし、
パチュリーはすぐに向かった。
「咲夜と小悪魔は
そこにいなさい!」
そう言葉を残して。
「き、貴様…!!」
「無様だな。
吸血鬼の宿命は越えられない。
たとえあんたがどれ程強くても」
流水を浴びた体は力が入らない。
流れる水に、力も一緒に流されてしまった感覚だ。
飛ぶどころか立つことも
ままならないレミリアの頭を踏んづける。
「このっ…汚いわね!」
足を払い除ける。
しかし、力が入らない腕では猫がじゃれつく程度にしかならない。
より乱暴に頭や腹部を連続で踏みつける。
レミリアが悲鳴を吐こうが血を吐こうが御構い無し。
「いいザマだなレミリア!!
お前のメイドと、
お揃いにしてやるよ!!」
そう言い、両手を掴んだ。
直感的に何をされるか解ったレミリアは、力を振り絞って脱出した。
息を荒げ、血で顔を汚しながらも
トロオドンを睨み付けた。
「そこまでよ、性悪吸血鬼。
これ以上私の親友やその従者に
手出しするようなら…
私が許さない」
パチュリーが背後から現れる。
「貴様に用事はないのだが」
「パチェ…」
「ごめんねレミィ…
けど私は…」
パチュリーの魔本が輝きを増す。
「ここまでされて、
許す訳にはいかないの。」
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