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「私にはずっと‥藍音の思い出しかなかった‥小さい頃のことだけど、私は本気だったの‥」
私の腕の中に収まったまま、海紗が呟き始める。
「そんな私の前に、藍良が現われた」
背に回す手に、キュッと力がこめられる。
「もう思い出に縋る必要が無くなった。藍良となら、新しい思い出を作れる。一つ言っておくけど、私が藍良を好きになったのは、藍音と双子で面影があったからとかじゃないからね?」
「うん」
「藍良がいたから、私はまた、私として生きられる」
あぁ…私が必要としていた言葉だ…
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