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「藍良(あいら)、着いたよ起きな」
お母さんに肩を揺さぶられ目を覚ますと、車は古いけれど大きな家の前に停まっていた。
必要最小限の物が詰め込まれたバッグを持って、車外へ出る。
照りつける太陽は相変わらずだったが、風は都会のものより僅かに冷たかった。
「じゃあお母さん、藍良よろしく」
腰の曲がった、優しそうな祖母が笑顔で頷く。
二人は、私を降ろすとすぐに帰っていった。
去っていく車を無表情のまま見送っていると、祖母が手招きしてくれた。
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