69人が本棚に入れています
本棚に追加
「藍良、海紗(みさ)ちゃんのこと覚えているかい?」
おばあちゃんがそんな話をしたのは、何年かぶりの他人の手料理を口にした、温かい食卓の場だった。
「覚えてない‥その、海紗って子、私と仲良かったの?」
私は今まで知らなかったのだが、おばあちゃんの話によると私は3才の時までここで暮らしていたらしい。
「とっても、仲が良かったよ。海紗ちゃんは生まれてすぐに両親を事故で亡くしててね。タエちゃんとあたしが仲良かったもんだから、いつも藍良と海紗ちゃんを一緒に面倒見てたのさ」
おばあちゃんの目が、昔を思い出すように細められる。
目尻にキュッとしわが集まり、おばあちゃんは笑っているように見えた。
最初のコメントを投稿しよう!