茜色の空へ

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最初は野球なんてルールすら知らなかった。 初めて野球というものに興味を持ったのは、一年生の時。 高校に入って、中学の頃からやっている吹奏楽部に入部した。 楽器もずっと同じトランペット。 高校の吹奏楽は夏は多忙なのだ。 コンクールの練習、コンサートの準備。 そして、野球の夏大会の応援。 その応援で演奏した時、初めて野球というものに触れた。 ルールは見ている内にだいたいわかってきた。 応援曲を演奏する度、ヒットが打たれてファンファーレを高らかに奏でる度に、どんどん引き込まれていった。 そして、試合に勝った後の歓喜に踊り興奮した。 ああ、野球ってこんなに楽しいんだって思った。 そして、みんなで汗を流し日焼けをしながら応援している中に……あなたを見つけた。 この時のあなたは、まだ一年生で観客席で他の野球部員と大きな声で応援していたね。 その一生懸命さ、明るい笑顔。 応援する時に飛ぶ、爽やかな声。 わたしは、応援中にトランペットを口から離して…あなたのことを見つめてしまった。 堺くん。
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